2010年4月24日土曜日

【鬼の撹乱】

先週の日記から・・・。

14日、昼食を頂きながら地元金融機関での2時間超の会議を終え、
立ちあがったとたん地面が揺れた。

「地震!?」

いや、すぐにそれが勘違いだと気がついた。
周りの誰も騒がないし、むしろ普通にそれぞれ談笑している。

まるで僕の足元だけが震度3以上の地震地域のようだ。

歩き出すと地震、と言うより浮遊感のある「めまい」に変わった。
意識が、どこか他の場所にあるような錯覚。

エレベーター、駐車場・・・ゆっくり歩いてみたが、改善しない。
動揺してきた。
こう見えて、とても気が弱い「チキンハート」の51歳。

こりゃ、いよいよ来たか・・・脳卒中!!
やばいよやばいよ・・・。
なぜか、こんな時に、あの「出川」のフレーズが口を出る。

慎重に運転して会社へ向かったが、
ふと途中の「T脳神経外科」に寄ってみた。
普段から予定外の寄り道や計画にない行動はしない方なのだが
今度ばかりは「虫の知らせ」か、躊躇なくハンドルを切った。
が、入口看板に水曜は午後から休診の丸印を見つけ、
やはりそのまま会社へ向かうことにした。

この時の「悪い予感」が、さらに不安をあおる事になる。

まだ、相変わらず意識が違うところにある感じは変わらない・・・。

事務所に入り、動悸を抑えるように上着を脱いで、ネクタイを解き、
簡易血圧計を腕にはめる。

120-180!? 見た事もない数値だった。

普段は78-120、脈拍60ほどなので
これは一大事!?ますます動悸が激しくなってきた。

ちょうど、工場長が部屋に来たので
「具合悪い」と訴えたら、
工場長自身、高血圧、狭心症の持病持ち、「倒れた」事のある経験者なので
「こりゃ大変だ!!」と段取り宜しく
すぐに病院に連れて行ってくれることになった。

その前に、まずは今夜の「倫理法人会」の17時からの会議と
18:30からの幹部研修、明日5:30の役員朝礼、
6時のモーニングセミナーの全てをキャンセルする事を
事務員さんにお願いし車に乗り込んだ。

どうでも良い事に対しても、この細かさ・・・が欠点でもある。

時間は15時・・・しかし、ここからが、長くて短い3時間の始まりだった。

会社から5分ほどにある内科・外科の開業医・・・午後から休診。
またまた嫌な予感・・・・。

そこから2分の「F胃腸器科クリニック」・・・開いていた。
でも、この病院・・・あまり好きじゃない・・・理由はないけど・何となく・・。

受付で工場長が事情説明、問診表を書いてくれ、
すぐに車椅子に座らせられ待合室から処置室に通された。

ベットに寝かされて、いろいろ尋ねられたが、良く覚えていない。
また血圧を測る・・・・105-165・・・まだ高い。

診察室に車椅子のまま通されて医師の問診、
わずか5分で「ここでは何もできないので」と
紹介状を書いてもらい「Y脳神経外科」に行く事になった。
診察料を支払う時、「先生はいるのですか?連絡はしているのですね?」と尋ねる。

受付の女性は「大丈夫です」と微笑む。

会社に連絡して工場長にマイカーを持ってきてくれるようにお願いした。
結局、運転はまだ無理と判断、工場長が運転、
事務員が「代行」で追従し、Y脳神経外科まで送ってもらった。

受付で「紹介状持ってきたんですけど・・・F胃腸器課から連絡きてますよね」。

しかし・・・・・・雰囲気が怪しい。
待合室で待つ事15分、
看護師がやってきて説明・・・やっぱり何の連絡もなかったらしい。
それどころか・・・午後から医師は学会で不在との事・・・・。

「はあ?・・・・マジ?」

何やってんだ・・・・・イライラがマックスとなる。
オレを殺す気か!

「F胃腸器科クリニックさんで、他の病院を当っていますので、横になってお待ち下さい」

もう・・・不信感しかないので、半ばやけになって、従う事にした。

しかし、5分と根気が持たず、ナースコールを鳴らし、

「ずいぶん落ち着いたので・・・帰ります。」

「今、転院先を探してるそうですから・・・」

「いえ、もうけっこうです。帰ります。」

「それでは、明日8:30から開いていますから、カルテ作りますか?・・・」

「すみません・・・明日はたぶん来ません。主治医はT脳外科さんなので・・・
明日なら、たぶんそちらに行きます。すみません。」

「いいですよ・・・気にしないで。ただ、今晩、具合悪かったら、
必ず、救急車を呼んで下さいね。」優しい看護士さんだ。

「はい、ありがとうございます・・・あの、つまらない事聞いていいですか?」

「なんです?」

「医者の紹介状ってお金取ってるんですか?」

「200円・・・・ですが・・・」医療事務員さんが応える。

「・・・・・意味なかったですよね? 頭きたから返金してもらおうかな・・はは(笑)」

「・・・・・・・・・」

(言わなきゃ良かった・・・・・・・・。)

駐車場で車に乗り込み、エンジンを掛けて
前方の出口から出ようと走り出したが、
何となく気が変わって、後方の出口から出ようと
バックしたとたん・・・「メシャ・・グリグリ」。

ああ・・・・・後ろに駐車していた軽自動車に完全にぶつかっていた。

車から降りて、思わずしゃがみこむ。
バンパーが潰れ、車体もへっこんでいる。

「これは夢に違いない・・・きっと長い夢をみているんだ!」

数秒の間、現実逃避をしてから、自分の車を見る。
こちらは・・・・無傷に近い。
やっぱりランクルは丈夫だなぁ・・・なんて関心してしまった。

向かいの薬局から初老の男性が飛び出してきて「今、ぶつけたでしょ!!」


「はい・・・すみません。すぐ警察呼びます・・・・。」

警察の説明によると、結果的に、このように大した事のない事故で
お互い走行可能なら一番近い警察に出向く事になっているらしい。

一体、何がこの自分に起きているのか、良く理解出来ていない、
ぼーっとした頭のまま、慎重に運転して警察署に向かったが、
ヨーカドーの交差点で警察署の場所が判らなくなり、
右折と左折を間違ってしまった。

やばいよ、やばいよ。
うるさい出川・・。

事故処理は15分で終了、幸い相手の方も良い人だったので
後は、保険屋さんに任せることになった。
具合悪そうな自分を心配までしてくれた・・・・。

18時過ぎ、自宅に戻り、布団に入ったが
肩の痺れ・痛みなどで、まったく寝つく事が出来ず、23時まで起きていた。

翌日、T脳神経外科で問診、MRAで検査、
結果的に脳には全く問題なし、脳卒中の心配は不要、
過度のストレスと心配性の性格が原因となり
急激な血圧上昇で脈拍も上がり、動悸、めまいになっただけ・・・との診断だった。

血圧を下げる薬の必要はなし、
しいて言えば肩の筋肉が異常に凝り固まっているので
筋肉の緊張を取り除く薬を処方するだけ・・。

安心したら、急激に腹が減ってきた。
ひとまず出勤して、見積もりをやっつけて
13時過ぎに帰宅、2食分食べていないので
胃に優しい日本蕎麦にすることにした。

遠慮気味に1輪食べたが・・・ぜんぜん足りない。
もう1輪茹でて・・・食べた。

脳に問題ないなら、この日の予定、中学校のPTA総会に行かねば、
なにせ司会の役を仰せつかっていたのだった。

しかし職員室で打合せをしていたら、また・・・めまいと浮遊感。

また血圧が上がってきたようだ・・・。

この後の歓迎会だけは、欠席させて頂く事にしよう。

この時期は総会シーズン、翌日も工業団地青年部総会が控えている。
少し、休養が必要かもしれないな。

普段から「昔はストレスなんて言葉はなかった。むしろ、甘えた人間の言い訳け。」
「ストレスなんて感じた事はない」なんて恐れる事なく豪語してきたが、
本当は自分自身のストレスに鈍感なだけで
体や心は悲鳴を上げているのかもしれない。

それにしても、開業医の「水曜日午後から休診」・・・・何とかならんか・・。

たった一つ残った市内の総合病院には脳外科医は常勤していない。
普段、薬も医者も縁遠い生活では、地域医療の問題にも無頓着だったが
これじゃ救急車に乗った緊急患者以外、適切な医療が行われるか心配になってきた。

最後に・・・
ご心配をお掛けした会社の皆さん、数少ない友人達の暖かい言葉に感謝します。