2014年4月24日木曜日

書感:それでもなお、人を愛しなさい~逆説の10カ条

それでもなお、人を愛しなさい
    逆説の10カ条       ケント・M・キース



先日の「書感:礼節のルール」を「人にプレゼントしたくなるような本」と評しましたが
今回のこの本は、「いつも手元に置いて何度も読み返したくなるような本」でした。
 
1. 人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。
  それでもなお、人を愛しなさい。

 
2. 何か良いことをすれば、隠された利己的な動機があるはずだと人に責められるだろう。
  それ でもなお、良いことをしなさい。


3. 成功すれば、うその友だちと本物の敵を得ることになる。
   それでもなお、成功しなさい。

 
4. 今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。
  それでもなお、良いことをしなさい。

 
5. 正直で率直なあり方はあなたを無防備にするだろう。
  それでもなお、正直で率直なあなたでいなさい。

 
6. 最大の考えをもった最も大きな男女は、 最小の心をもった最も小さな男女によって
  撃ち落されるかもしれない。それでもなお、大きな考えをもちなさい。

 
7. 人は弱者をひいきにはするが、勝者の後にしかついていない。
  それでもなお、弱者のために戦いなさい。

 
8. 何年もかけて築いたものが一夜にして崩れ去るかもしれない。
  それでもなお、築きあげなさい。

 
9. 人が本当に助けを必要としていても、実際に助けの手を差し伸べると
  攻撃されるかもしれない。それでもなお、人を助けなさい。

 
10. 世界のために最善を尽くしても、その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。
   それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。


この10カ条を読んで
「あれっ? どこかで聞いたことがあるなぁ・・・」
と思った方はかなりの勉強家です。
そう、名言集で必ず出てくるマザー・テレサの言葉とそっくりなのです。
 
ちなみに、これがマザー・テレサの詩です。
「それでも」
人はしばしば
不合理で、非論理的で、自己中心的です。
それでも許しなさい。
 
人にやさしくすると、
人はあなたに何か隠された動機があるはずだ、
と非難するかもしれません。
それでも人にやさしくしなさい。
 
成功をすると、
不実な友と、
本当の敵を得てしまうことでしょう。
それでも成功しなさい。
 
正直で誠実であれば、
人はあなたをだますかもしれません。
それでも正直に誠実でいなさい。
 
歳月を費やして作り上げたものが、
一晩で壊されてしまうことになるかもしれません。
それでも作り続けなさい。
 
心を穏やかにし幸福を見つけると、
妬まれるかもしれません。
それでも幸福でいなさい。
 
今日善い行いをしても、
次の日には忘れられるでしょう。
それでも善を行いを続けなさい。
 
持っている一番いいものを分け与えても、
決して十分ではないでしょう。それでも一番いいものを分け与えなさい。


1949年にニューヨークで生まれたケント・M・キース氏が
ハーバード大学在学中の1968年、19歳の時に、高校の生徒会のリーダー達を
激励すべく150回以上の講演を行った際に書いた小冊子の一部
「リーダーシップのための逆説の10カ条」。

それが不思議と人々の間に広まり、マザー・テレサのグループのもとに至り、
彼女たちが愛唱した教えとしてルシンダ ・ヴァーディ編著「マザー・テレサ語る」に
「カルカッタの<孤児の家>の壁に書かれた言葉」として掲載され、
いわばマザー・テレサの教えとしてさらに世界中に広まりました。
 ケント・M・キースさん本人はそれを25年後に知ることになります。
本書「それでもなお、人を愛しなさい
 人生の意味を見つけるための逆説の10カ条」は
そうした不思議な経緯で書かれたものです。

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   この世界は狂っているということをまず認める、そこから始めるのが最善です。
   この世界はまったくどうかしています。

    確かに、この世界は狂っています。
   あなたにとってこの世界が意味をなさないと言うのなら、
   それはあなたの言うとおりです。
   この世界はまったく意味をなしていません。
   大切なことは、それについて不平を言うことではありません。
   希望をすてることでもありません。それはこういうことです。
   世界は意味をなしていません。しかし、あなた自身は意味をなすことが
   可能なのです。あなた自身は一人の人間としての意味を発見できるのです。
   それがこの本のポイントです。これは、狂った世界の中にあって人間として
   意味を見つけることについての本です。

   この世界は狂っていますが、あなたは狂っていません。
   だから、あなたは逆説の中に人間としての意味を見出すことができるでしょう。
   「逆説」とは皆が信じている意見とは対照的な考えであり、常識と矛盾している
   ようでありながら真実であるものです。
   私はここに、生きる意味を見つけるための
   逆説の10カ条を記します。
                         「第一部 おかしな世界」より