2014年4月3日木曜日

【書感  礼節のルール】



 
先日、(株)ハヤセのk部長から「ネタ作りにどうぞ」と頂いた本「礼節のルール」は
とても良い本でした。
毎週のマネジメントレターの内容選びに苦労している私にとっては、
大きなプレゼントです。

 副題が「思いやりと品位を示す不変の原則25」と何だか難しそうでしたが、
実際はとても読み易い文章でありながら、内容は豊かで、
帰りの新幹線の中で一気に読んでしまいました。
著者はイタリア出身で長年「礼節の理論と歴史」を教えるPM・フォルニ教授です。




   「人生には大切なものが3つある。

    ひとつは、人に親切にすること。

   もうひとつは、人に親切にすること。

   そしてもうひとつは、人に親切にすること。」  ヘンリー・ジェイムズ(作家)
 

このような書き出しから始まる本書は、一貫して「当たり前のこと」を書いています。

しかし、その「当たり前の事」が失われてしまったことが問題なのだと優しく警告し
「礼節」の大切さを説き明かします。

礼節(=Civility)という言葉の由来は、都市(=City)と社会(=Society)という
言葉にあります。(中略)

都市は人が人が知を拓き、社会を築く力を伸ばしていく場所なのです。(中略)
つまり礼節とは「よい市民になること」「よき隣人であること」を指しているのです。(P21-22)
 

 人生は他者とのふれあいで決まるもの・・・良い人間関係に恵まれれば、
人生は輝きます。人間関係が損なわれると、人生も損なわれます。
幸せになりたいなら、他者とともに良く生きる方法を学ばなければなりません。
そのカギを握るのが「礼節」なのです。
 
礼儀正しくしていれば、他者とうまく触れ合うことができます。
私たちは礼節ある生き方をすることによって、思慮深い心を育て、
自己表現とコミュニケーションの力を伸ばし、さまざまな状況に
穏やかに対応できるようになります。

私は、出張中の電車内や街中で、気になる「無作法な」光景を時々見かけます。
 例えば・・・混んでいる電車内で座席に荷物を置いている人や、
長い脚を大きく
足を広げて座るお兄さん、新幹線の車中なのに大きな声で携帯電話を掛けている
年配の方(女性が多い)や、人混みで、後ろからぶつかっても謝るどころか、
睨んで立ち去るサラリーマンなど・・・

私は上記のようなことでイラッとしてしまった時、私の尊敬する方たちは、
こんなことで「イラッ」としたりしないのだろうな・・と自分の「小ささ」を
恥ずかしく思います。

 

「無作法とは、弱い人間が強さをよそおうことだ」 
             エリック・ホッファー(社会哲学者)  (P28)

 

普段、私たちの自己表現は身勝手なことになる事は少なくありません。そんな時「自制心」が大切だと著者は説きます。

 

・自分は本当にこれをしたいと思っているのだろうか?

・これをしたら、誰かを傷つけることにならないだろうか?

・これをしたことで未来の自分は喜ぶのだろうか?      (P29)

 

行動する際には、自分にこのような問いを投げかける習慣を身につけます。
このような自問自答は健全な判断をする助けになります。
つまり自制心とは“あとで嬉しくなるための技術”であり、
今この瞬間の満足を得られなくても、5分後、明日、あるいは未来に
気分が良くなる行動を選ぶことができるようになるのです。

礼儀正しくすることは、ある面の自分らしさを抑えながら、
別の面の自分を出す事になるのです。(P31)

両親と仲が良くなかったり、パートナーと頻繁に口論していたりすると、
そうでない良好な人間関係を築いているヒトに比べ、免疫力が弱いというような

調査結果があり、他人と交流する能力は、間違いなく健康を左右するのです。(P36)


誰か、親しい人にプレゼントしたくなるような本だと思いました。